S!メール

第1回 デコレメールとは

みなさん、デコレメールをご存知でしょうか?
今さらひとに聞けないという方もいると思いますが、これを知らないと、若者文化についていけないだけでなく、
ビジネスの場でも取り残されてしまうかもしれないという重要なアイテムなのです。

デコレメールは装飾メールとも呼ばれ、3G ケータイで送受信可能なHTMLメールのことです。
装飾メールと言っても、画像やサウンドで個人的なメールを派手に飾るだけでなく、
商売にも使えて、効果的に使えば利益につながるという有りがたいものなのです。

このコラムは、携帯用のコンテンツビジネスを展開している企業、サイトの運営者、技術者の皆様を対象にしています。
実際にデコレメールを作って配信するまでの流れを、技術的側面だけでなく、商業的な視点も含めて分かりやすく解説していきます。
このコラムを読んで、デコレメールに興味をもってもらい、ビジネスとしての可能性を理解していただけると幸いです。

もちろん、ビジネスではなくても、個人的に、デコレメールでちょっと何かしてみたいとか、
さらに「デコレメールって良く分かんな~い」という方々にも役立つはずですので、ぜひご覧ください。

デコレメールで表現力アップ
デコレメールでは通常のテキストのみのメールと違い、絵文字やテロップを使用したり、 画像や音声、効果音、アニメーションなどを挿入したりすることができます。 また、マイ絵文字と呼ばれる利用者が独自に作成した絵文字も使用することができます。 これらによって、テキストメールでは出来ないような、視覚、聴覚に訴える表現が可能です。
メールを派手に飾るだけでなく、気持ちやニュアンスなど、 文章では伝えづらいことを表現したり、かわいらしさや和らいだ印象を与えたりする効果が期待できます。

漫画やアニメの中で育った世代も今や40代、50代になっていますが、若年層になるほど、絵文字や画像を積極的に利用する傾向があります。
PCの世界ではHTMLメールはそれほど脚光を浴びていないように思いますが、 携帯の世界では、若者・女性の多くが日常的にデコレメールを利用し、その恩恵を受けています。
日本の人口のうち、15歳から35歳のいわゆる若者層が26%(4分の1強)を占めています。また、女性が占める割合は約50%です。
携帯電話の利用者に絞ると、若者層、女性層の割合はもっと高くなっていると考えられますが、この層がまさに、装飾メールを最も利用する層なのです。言ってみれば、装飾メールは、携帯電話サービスの王道とも呼べるもので、装飾メールを利用する人は65%もあるという統計結果もあります。
(※引用:アイシェアの市場調査ページ「rTYPE」
デコレメールは年賀メールや誕生日メールなどのグリーティングメールはもちろん、生活のあらゆるシーン、たとえば、おはよう、おやすみ、お腹すいた...などでも使用されています。「デコレメールは操作が面倒」という印象の方もいると思いますが、実は、技術畑の専門家ではない人たちでも日常的に使えるような、手間のかからない、効果的な表現手段なのです。

お手軽と言っても、デコレメールはけっして、時候の挨拶や若者が仲間同士のお遊びに使うだけのものではなく、ビジネスの場でも強力なツールとなります。たとえば、パワーポイントを利用したプレゼンを考えてみてください。文字だけの資料より、写真やグラフが入った資料のほうが、効果的であることは明らかです。同様に、デコレメールを使用して、商品やサービスの内容を写真や効果音、アニメーションなどを交えて効果的に顧客に伝えることができます。
テンプレートの中を覗いてみよう!
デコレメールの作成方法には、利用者が携帯電話の機能を利用してマニュアル的に作成する方法と、あらかじめ用意されたテンプレートを使用する方法の2つがあります。

マニュアル的な方法では、メールの作成時に、利用者が装飾パレットから文字色、背景色等々を設定したり、絵文字パレットからマイ絵文字と呼ばれる画像を挿入したりという操作を行います。テンプレートを利用する場合は、あらかじめ画像挿入、装飾設定がされたテンプレートと呼ばれる雛形に、利用者がメールの本文を書き加えて送信します。このテンプレートは、最初から携帯に幾つか用意されていますが、サーバーからダウンロードしたものを使用することもできます。
デコレメールのテンプレートの実体は、hmtという拡張子のHTMLの記述を含んだテキストファイルです。通常のHTMLファイルでは、画像、サウンドなどのデータは、ファイルとして外部に置かれていて、それらへの参照情報だけをもっています。しかし、デコレメールのテンプレートでは参照情報ではなく、これらのデータも一緒にテキストにエンコードされた形で埋め込まれています。
デコレメールのテンプレートファイルはSoftBankから無償で提供されている「デコレメールツール」というオーサリングツールを使って作成することができます(※)。オーサリングツールに素材として読み込む絵文字、画像、サウンドは、後の回で紹介するそれぞれのツールを使って作成します。

※2014年3月をもちまして、デコレメールツールの配布は終了しております。

デコレメールで収益アップ!?
デコレメールのメリットは何と言っても、画像やサウンドをメールに組み込めることですが、
この表現力を活用して様々なサービスを展開することが可能です。

デコレメールの市場規模は数十億円規模で、100億円にも達する勢いとも言われていますから、これを見逃す手はありません。たとえば、会員を対象としたデコレメール関連のサービスをはじめ、メールマガジン、通販システムなど、幅広い分野での応用が可能です。また付随するビジネスとして、絵文字のパッケージや画像、サウンドなどの素材を販売することも考えられます。

会員向けサービスでは、素材やテンプレートのダウンロードと共に独自のテンプレートを作成する機能を提供したり、手書き文字や携帯で撮影した写真をデコレメール用の素材に変換したりするサービスが考えられます。会員は、用意されたテンプレートのなかから好みのものを選ぶだけでなく、携帯で撮影した写真にテキストを加えたり、手書きの文字と合成したりといったことが可能になるわけです。

メールマガジンでは、テキストだけでなく、内容を説明する画像やサウンドをふんだんに盛り込むことが可能です。
特に通販システムでは、商品画像入りのメールを送信できるため、利用者への訴求力は格段にアップします。

サービス提供者が、これらのサービスを行なうために用意しなければならないのは、配信用のWebサーバー、サービスを提供するためのシステム、テンプレートと画像、サウンド、絵文字、Flash® などのコンテンツです。デコレメールは、あまり大きな投資が必要ではない一方、アイデア次第でおおきなビジネスになる可能性を秘めているといえます。

このコラムでは、デコレメールに関する基本的な知識と、作成のためのツールの使い方について説明していきますので、その知識を足がかりに、具体的なアイデアを練って、ビジネスに繋げてもらえればと思います。



記事執筆:勝田哲司(有限会社ミューテック 代表取締役)

マルチメディア系アプリケーションの開発を得意とする。
パソコン関連技術書の著作をはじめ、DTMマガジン(寺島情報企画)など、
音楽、アート関連の書籍への寄稿も多数。
平成12年にミューテックを設立、音楽編集ソフト、携帯動画変換サイト、
FLASH自動生成システムなどの開発、販売を行っている。